2017年10月10日、ついに第48回衆議院議員総選挙が公示され、12日間の選挙期間が始まりました。今日から、ポスターの掲示などが始まり、選挙運動は本格的に進んでいくことになります。
さて、そんな選挙は公職選挙法という法律に基づいて行われていますが、日本の公職選挙法は大変厳しい規定が多く設けられています。今日は、「知らないうちに違法行為」をしないために、最低限覚えておきたいことをあげていきたいと思います。
18歳未満の選挙運動の禁止
一般に、選挙運動は以下のように定義されています。
特定の選挙に、特定の候補者の当選をはかることを目的に投票行為を勧めること。
出典 選挙Q&A(選挙運動と政治活動) | 東京都選挙管理委員会
公職選挙法には、このような選挙運動を「してはいけない人」について定められていますが、そのうちの一つに、
第百三十七条の二 年齢満十八年未満の者は、選挙運動をすることができない。
出典 公職選挙法
という規定があります。
この規定は、「18歳未満の者は選挙に全く関わってはいけない!」というものではなく、あくまで「特定の候補者の当選をはかることを目的に投票行為を勧めること」、すなわち「この選挙では○○さんに投票しましょう!」という呼びかけだけが禁じられているのです。このことをまとめると、以下のようになります。
- 18歳未満から18歳未満への呼びかけ:OK
- 18歳未満から18歳以上への呼びかけ:NG
- 18歳以上から18歳未満への呼びかけ:OK
- 18歳以上から18歳以上への呼びかけ:OK
戸別訪問の禁止
第百三十八条 何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて戸別訪問をすることができない。
出典 公職選挙法
これは、センター試験などでも何度も出題されているので、高校生にとってはおなじみかもしれませんね。
公職選挙法では、選挙運動の方法について厳しい規制が多くありますが、特に買収の防止には力を入れています。候補者などが個人宅を直接訪れて選挙運動を行うことは、買収につながるおそれがあるとして、禁じられているのですね。
「電子メール」に注意
2013年4月に成立した改正公職選挙法から、インターネットを選挙運動に用いることが認められています。この改正以前からインターネットはもちろん普及していましたが、公職選挙法には規定がないために、一般には公示日以降はサイトの更新などをストップすることとされていました。
この、いわゆる「ネット選挙」の解禁によって、インターネットを通じて選挙や候補者に関する様々な新しい情報を得ることができるようになったのです。
さて、ここで注意しておきたいのは、「インターネット等を利用した選挙運動」には、大きく分けて2つの形があることです。
ウェブサイトなど
後述する「電子メール」に含まれないものは、すべて「ウェブサイト」として扱います。いわゆるホームページや、電子メール以外のSNS(Facebook、Twitter、LINEなど)はすべて「ウェブサイト」に含まれるので、投票の呼びかけに(18歳以上であれば)使うことができます。
電子メール
一方、いわゆる一般的な電子メールや、携帯電話の電話番号を使って送受信するSMSを、選挙運動として送ることができるのは、候補者と政党のみとされています。
ここでいう「メールの送信」には、候補者や政党から届いたメールを、別の誰かに転送することも含まれます。もし、候補者や政党のメールマガジンなどに登録をして、そのメールを受け取った場合でも、それを電子メールとして転送することは違法行為になることに気をつけましょう。
まとめ:まずはこの3つをおさえておこう
公職選挙法には、他にも多くの決まりがありますが、今回はその中でも特に関わりが大きいと思われる3つだけをあげました。まずはこれさえ確実に覚えておけば、知らず知らずのうちに公職選挙法に違反する行為をしてしまう可能性はぐんと減ると考えています。
選挙が公正に行われるための規定ですので、少々面倒な部分や「厳しすぎるのでは?」という部分もありますが、きちんと把握しておきたいものですね。